弁護士の仕事
弁護士の仕事は多岐にわたりますが,外から見ていては分からない部分では,知識のアップデートがあり,そのために書籍を買い続ける仕事です。
法律の解説や判例の分析等書籍の内容も多岐にわたります。
弁護士は紛争解決するのが仕事なので,法解釈裁判実務だけではなく,紛争解決するにはどうしたらよいのか,という点も考え,その点の知識のアップデート,書籍の購入もします。交渉術や戦術,心理学などです。
嫌われる勇気
これまでに読んだ書籍の中では,アドラー心理学を書いた「嫌われる勇気」-岸見 一郎, 古賀 史健(ダイヤモンド社)がおすすめです。以下にその一端が伺えると思います。
聞く技術 聞いてもらう技術
孤独と孤立
孤立はだめ。孤独は良い。
話を聞くためには孤独に耐える必要がある。
→悩み事を抱えたら,1人で十分に考えることが一番の特効薬であるように思う。なので孤独はよいことなのだろう。孤独であれば,人の話もフラットに聞くことができる。
他方で,孤立している場合,1人で考える余裕がなくなってしまうため,だめなんだろう。人の話も色眼鏡で見てしまう。
大勢の中にいる時にかえって孤独を感じるというようなことも書いてあったが,要するに,余裕が出て,1人で考える環境ができるのだろう。
世間知と専門知
世間知で心の問題の多くは解決。
専門知は世間知に溶けやすいものである必要。
専門家になるということは根源的にバカになるということだ。
→常識の中でほとんどのものは解決していく。そうでないものに対して,常識から離れて専門的知識技術を使っていかなければいけない。
弁護士もそういうところがあり,常識的にはちょっと違うとしても,法や契約で決まっているのであればそれに従う場面がある。それは,取り決めておくことで多様な常識に基づく混乱を回避するためであると思われる。
時間の力
時間を他者と共有している時,事態が好転する。
→時間が解決するということで,紛争解決も時間が解決する場合もある。何より,急な展開に人はついていけないので,気持ちの整理,考えが整理というところで時間が必要になると思われる。たとえば,法律相談をして,その結果何もしない,静観するという判断をすることは少なくない。その場合に事態が好転することが多い。これを分析すると,当事者が諸事情を伝えることにより,時間を他者(当職)と共有することになるからとも説明できる。ただただ放置することと法律相談をして放置することとは全く違うのかもしれない。
転移(フロイト)
トラウマが刺激され,目の前にいる人が敵に見えてくる。
→なぜそんなに怒っているのか,という場面はよくあるが,それはこの現象なのかもしれない。
三者は三種類
司法的第三者,仲裁的第三者,友人的第三者
→弁護士は,世間から司法的第三者あるいは仲裁的第三者の立場を求めることが多いような気もする。
しかしながら,代理人としての弁護士は裁判官でもあっせん者でもない。明確な友人的第三者である。このあたりがうまく整理されていない方が多いような気がする。
もっとも,代理人以外の場面では,他の役割をすることもある。
聞くと聞いてもらうがぐるぐる回る
→話を聞いてもらえば楽になるし,話を聞けば,多少なりとも力になることができる。これは法律相談をしていて実体験としてよくわかる。話を聞いてもらうには話をしないといけないし,話を聞くには話をしてもらわないといけない。いずれにしても1人でできるものではない。