ロマンス詐欺,仮想通貨詐欺にあってしまった。とりかえしたい!
ロマンス詐欺や仮想通貨詐欺といわれる主にSNSを通じて勧誘し,多額の投資を引出すという手口は,近年,増えています。
このような類型に対しては,絶対に関わらないというのが対処法です。そのような都合のよい話があるわけありません。
仮に,詐欺に遭ってしまったというケースでは,それを取り戻すのは容易ではありません。
まず,加害者がどのような人物かから曖昧です。
特定しようとする手続きは以下のように少なくありません。
・SNSのアカウントから特定する。
・電話番号から特定する。
・振り込み先口座から特定する。
・メールから特定する。
これらを弁護士会照会制度というのを使って行うことになります。
それでもだめなら
・警察庁に被害申告して捜査を待つ。
という選択肢もあります。
手続きとしては豊富ですが,実際は困難であることが多いです。
特定できたとして,訴訟して回収することが必要です。それに先立って,加害者に資力があり,それを抑えることができることが必要です。
振り込め詐欺救済法に基づく手続,民事保全に基づく仮差押えなどがありますが,これも必ずしも実効的ではありません。
そうおっしゃいますが,ロマンス詐欺,仮想通貨詐欺の被害回復をしてくれるというサイトは沢山あります。どういうことですか?
まず,弁護士でない業者等は非弁の可能性があり,避けてください。
話せば長くなるので割愛しますが,弁護士でないものが法律業務を行うことは禁止されており,その禁止されているには相応の理由があります。後述のように二次被害として食い物にされてしまいます。
弁護士の中には消費者被害に尽力されており,何とか被害回復をという気持ちでできる限りのことをするという弁護士も少なくありません。そのような弁護士であれば依頼しても良いでしょう。ただ,被害回復されるかどうかは運次第と言わざるを得ません。
残念ながら,弁護士の中に被害回復を謳って高額な費用を要求するという者も見られます(東京弁護士会:国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点)。
二次被害といって,詐欺の被害者をさらに詐欺で…という類型は,昔から蔓延しています。
残念ながら都合のよい話はないので,原則として高い勉強代だったと思うのが得策です。
お金に余裕がある方は駄目元で夢を見てもよいですが,ギャンブルのような世界ですので,あくまで余裕資金がある方に限った話であると思ってください。
じゃあ,どうしたらよいですか。泣き寝入りですか?
「泣き寝入りですか」という言葉をよく耳にしますが,世の中で起きることをすべて自分の思うがままにはなりません。失敗は仕方ないことで,必ずリカバリできるものではありません。弁護士は魔法使いではありません。時を戻すことはできません。
とはいえ,加害者が悪いのはそのとおりで,何とか救済したいと思います。
お気に召さないかもしれませんが,詐欺にあって借金を抱えてしまったというような場合は,取り返そうとするのではなく,破産申し立てをして,一旦リセットするのがよいと考えています。
実際そのようにして対処したことも多くあります。
ぜひご検討ください。