シミュレーション~相続事件における寄与分の推計

 我々が扱う事件は,どれも生もので個性があります。2つと同じものはありません。

 そのため,正解が分からず,結果を想定することが困難です。

 結果を想定するには,仮定的な要素を組み合わせて推計する必要があります。

 それが,シミュレーションです。

 と当たり前のように書きましたが,他の弁護士がシミュレーションをしているのか分からないですし,あまり聞かないところです。

 交通事故の損害賠償でも,遺産分割でも,離婚の財産分与でも,シミュレーションをすると整理されることが多いです。

 今日も元気にシミュレーションをしました。

 遺産の範囲に争いがあり,遺言の効力に争いもあり,特別受益の主張もあり,寄与分の主張もある遺産分割事件ですが,シミュレーションをしてみると…

 複雑なことがよくわかりました…。

 寄与分とは,簡単にいえば,被相続人の財産の維持や増加に貢献した相続人は,後見の程度に応じて遺産を取得しうるという制度です。

第904条の2
共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

 明確な基準がなく,先例も少なく,その反面で遺産分割に与える影響度は大きいというものです。明確に立証できるケースは少ないと思いますが,寄与分が大きな争点となる場合,寄与分の判断は結果に重大な影響を及ぼすため,和解による解決が望ましいということになりやすいです。