患者,顧客,取引先から書面で謝罪することを求められています。
どうすればよいですか
最近よくみられる類型ですね。
貴社(貴殿)に注意義務違反,つまり非はありそうですか?
非は全くありません。
そうであれば,不当な要求をされているということですね。
書面を出す義務も意味もないように思われます。
毅然とした態度で,要求に応えられない旨を説明し,それでも納得されないのであれば,対応をしないという選択がよいかと思われます。
ただし,非が全くないかは第三者の意見を訊いた方がよさそうですね。
具体的にどのようなことがあったかを弁護士に相談するべきですね。
こちらにも悪いところはあったと思います。
なるほど,法的な義務に反し,損害賠償等の貴社(貴殿)の義務を生み出すものかどうか,検討しましょう。
当社に法的義務はないようです。
そうであれば,上記と同様,毅然とした対応がよいでしょう。
ただし,法的義務がないとしても,患者,顧客,取引先満足のために,書面を出すという選択はあるでしょう。
当社に法的義務があるようです。
そうすると,患者,顧客,取引先に対し,説明義務を負っていることになります。説明義務は必ずしも書面で果たさなければならないものではありませんので,書面を出す義務まではありません。
もっとも,説明義務を果たしたことを明らかにしておくためにも,書面を出しておいた方がよいでしょう。
書面には何を書けばよいでしょうか。
謝罪したら後で不利になりませんか。
一般的に,起こった事象,その理由・原因,謝罪,それに対する手当,今後の改善策などを記載します。
注意点としては,①あまりに詳しく書きすぎたり,表現の仕方次第では,患者,顧客,取引先の怒りを増長されることがあること,②不当な請求に発展するおそれがあること,です。
①について,この段階では感情面をケアすることが大切なので,その点に留意した範囲,内容,表現方法の選択が必要です。
②について,事実の範囲があいまいであったり,事実と異なる憶測を書いたり,不安定な約束をしたりしないようにする必要があります。
謝罪については,謝罪があったから法的責任が全面的に肯定されるというものではありません。患者,顧客,取引先の感情面においても,誠実さを示すという意味でも,ミスがあったのであれば,謝罪の意思を表示するべきであると思います。
ただし,謝罪の対象については繊細な選択が必要でしょう。
ひな形,フォーマットを教えてもらえませんか。
○○という事実について,謝罪するとともに,以下,原因等をご説明いたします。
調査の結果,原因は××であり,今後は△△という対応をとらせていただきます。
今回の件でご迷惑をおかけし,申し訳ありませんでした。
ただし,上記のとおり,注意点が多くありますので,弁護士に相談されることをお薦めします。