第1回[名古屋]法務・知財 EXPOに行ってきました。

はじめに

第1回[名古屋]法務・知財 EXPOという「あらゆる組織・団体にとって必要不可欠な企業法務・知財サービスから、最新のリーガルテックまで」を展示した催しに行ってきました。

働き方改革EXPO,会計・財務EXPOなども同時開催されていました。
なお,EXPOとは,英語
で博覧会を意味する「exposition」の略だそうです。
AIの進化により,人が担う労働の幅が縮小すると言われています。
色々な考え方があるかと思いますが,私は,合理化できるものは合理化するべきであると考えています。合理的でないことを感情論や非科学的な根拠で行うのは全くもって意味のないことであると思います。その観点から,多くの紛争は,意味のないものであるとも思います。
閑話休題。
パーソナルコンピューターというものがある程度一般化し,インターネットというものが普及しだし,今やスマートフォン全盛期で,もはやパソコンなど不要であるという論調すら出ている現状です。
パソコンの発達から現在に至るまで,約30年あまりしかありません。
歴史を紐解くと,奈良時代は約80年,平安時代は約300年,鎌倉時代は約150年,室町時代は約140年,安土桃山時代は約30年,江戸時代は約260年です。おそらくこの時代の流れの中でも,人々の暮らしや文化が極めて大きく変革したことはあまりなかったのではないかと思われます。
昔の緩やかな地代の流れと比較すると急激に進化しているのではないかと思います。
この動きは,まだまだとどまることをしらず,もうしばらくは,インフラがネットに移行していくのではないかと考えています。
展示されていたこれから流行しそうなフィンテック技術について,ご紹介しようと思います。

産業医を紹介

Avenirというサービスです。
近年,メンタルヘルスが問題となっており,経営者からすると,メンタルヘルス問題は,大きな悩みとなっています。
弁護士は,メンタルヘルスの紛争について解決することは可能ですが,メンタルヘルスを科学的に治すこと,科学的に分析することはできません。
その役割を担うことができるのは医師です。
色々な考えがあるとは思いますが,医師は法律問題には関わりたくないという方も多いようで,前向き積極的な産業医を探すことは困難です。
そんな中,このようなサービスは,今後,需要が多いのではないかと思います。
Avenir

RPA

RPAとは,Robotic Process Automation /ロボティック・プロセス・オートメーションの略語で,パソコン上のソフトウェアが人間の行動を代行・自動化する概念をいうようです。
簡単にいえば,パソコン操作のロボット化,オートメーション化です。
RPAは,昔から存在しており,たとえば以下のソフトなどは10年以上前からあったように思いますし,現在でも十分に無料で使うことができます。
UWSC
ただ,プログラミング経験のない方がハードに使うには難しい面があります。
そのあたりを克服し,より簡単にという動きが進んでいます。
RPAは,各社がこぞって開発をしています。
素人目ですが,大手の高価なRPAよりも,小規模の職人的な開発者の製品がよいように思います。
たとえば以下のものなどは,それほど高額な費用がかかるものではないようです。
アクセスロボ

HR

会場には,HRという言葉が溢れていました。
まるで,王貞治の沢山居る,サミーソーサの沢山居る野球場のように。
このHRはHuman Resourcesの略で,要するに人事ということのようです。
何でも横文字にすればよいというものではないとLawyerとしては思いますが,横文字にすることにより,大きな改革を受け入れやすくする,改革をしていることをイメージとして理解してもらう等のプラスの意味もあるのかなと思います。
各メーカーが,出勤管理や採用についての人事労務テックを開発しているようで,いずれも従業員も若く勢いがあり,楽しそうであったのが印象的です。
SmartHR

web会議

既に活用されている方もいらっしゃるかもしれませんが,現在は,音声だけでなく,映像も双方向で通信することが可能です。
要するにテレビ電話です。
私も顧問先のIT系会社との打ち合わせでは,web会議を行います。
顔が見たいわけではありません。資料を共有して話をするので非常に効率よく打ち合わせをすることができます。
裁判所も,裁判のIT化と称して,web会議を取り入れることになりました。
以下のサービスなどがよいかなと思いましたが,
より良さそうなサービスを士業の友人に教えていただきました。
無料で使えるようなので,試してみたいと思います。
ZOOM

財務系

財務系,すなわち数字を扱う事務は,フィンテックの得意とするところであり,様々なシステム等が展示されていました。
もともと計算機というものがあるように,計算は人ではなく,コンピューターが行うのが最適です。ケアレスミスが生じる可能性があるのに,人の手を入れる必要はありません。
マネーフォワードやフリーなど著名なフィンテックサービスが展示されていました。
楽楽精算
V-oneクラウド

電子契約書

電子契約書は,私の専門分野でもあるので,厳しい目で見ざるを得ませんが,まだ実用には少しというところでしょうか。
電子契約書が裁判で証拠として用いられる場合に問題点がまだ残っており,弁護士としては,是非とも電子契約書を使ってくださいとは言い難いところがあります。
ただ,契約書のような重要なもの,また,業種によっては頻繁に作成しなければならないものについては,いち早くデジタル化することが必要であると思います。
現状においては,契約書データを電子化しておくのが無難かなと考えていますが,各社が電子契約書の確立に向けて動いていることは,非常に好ましいチャレンジであると思います。
CloudSign

名刺

名刺を電子化するというサービスは既に多く存在しています。

eight

 

近い将来,紙の名刺というものを持ち歩く必要がなくなのではないかと思います。

そういえば,弁護士間では,相手方代理人と名刺を交換する文化がありました。しかしながら,近年では,その文化もなくなってきました。

インターネットで相手方代理人の情報を検索することができるようになったため,それ以上に名刺交換によって情報を知る必要がなくなったからです。

これにより,初対面の代理人間で雑談的なやりとりがなくなり,風通しが悪くなったとの声もあります。弁護士間では,ある程度相手方の代理人とコミニュケーションをはかることにより,落としどころの見当がつき,双方にとって良い解決ができることが多いです。

往々にして,弁護士同士が示し合わせて依頼者に不利益はないのではないかなどと言われることがありますが,弁護士同士が話をすることによって,むしろ,依頼者は,利益を受けるというのが実態です。話ができなければ,強硬的な方針しかたてられず,結果において,依頼者は,不利益を受けてしまう可能性があるのです。

というように,将来紙名刺が無くなると,一定の不利益が発生してしまう可能性もあります。

しかしながら,その不利益は,昔は名刺交換等していましたね,などと会話することによって容易に除去しうる不利益であると思います。

テックを用いることによる利益の方がはるかに上回るのではないでしょうか。

その他

印刷技術は,高止まりしているように思われます。
そんな中,以下のように,印刷する対象を変えてブレイクスルーを求めるという動きは面白いですね。
Cybernet
受付のロボット化です。
従来受付担当者が行っていた業務は,タブレットで代用できてしまうというサービスです。
 ややもすると,こういったIT化をもって,AIに仕事が奪われるなどという感情的な主張が出てくるのではないかと危惧されます。
名刺についての議論と同様ですが,人対人のあたたかいコミニュケーションが必要であればそれはそれで,用意すればよいのであって,盲目的にテックで代用できる業務を行う必要はないのではないかと思います。
receptionist

おわりに

このように,会社の業務はコンピューターにより代替していく傾向にあります。
我々士業の業務も例外ではなく,弁護士会などもAIに業務を奪われるのではないか,というテーマでシンポジウムを行うなどすることがあります。
しかしながら,私は,AIが発達することによっても,業務は奪われないと考えています。
なぜなら,AIが発達してもそれを用いる人間が必ず必要になるわけですし,AIを適切に用いる専門的な技術,知識が必要不可欠となるからです。
以前,AIを製作している会社の代表者に話を伺った際に,AIが…ではない!AIは主体ではない。AIをだ!AIは客体である,旨を強くおしゃっていた事を思い出します。
より使い勝手の良いAIを作成するにも専門的知識,技術が必要となりますし,より良いAIは時代とともに社会の流れとともに変わります。
結局においては,特に人に関わる部分は人がやらなければならないと思います。
単調な仕事はパソコンに,複雑な部分は人がということになり,社会は豊かになるのではないかと期待しています。
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